妊娠初期の体の症状

赤ちゃんに感染する感染症「TORCH(トーチ)症候群」について

目次

  • 「TORCH(トーチ)症候群」とは?
  • 妊娠中にかかると怖い、風疹
  • 風疹は予防できる!パートナーや周囲は意識を!

「TORCH(トーチ)症候群」とは?

インフルエンザなど多くの感染症は、ママが感染しても、赤ちゃんに障害を起こす事はない、もしくはまれとされています。しかし一部には、妊娠中に感染すると赤ちゃんに障害を起こす可能性がある感染症があります。 その代表例が「TORCH(トーチ)症候群」といわれ、トキソプラズマ(Toxoplasma)、風疹ウイルス(Rubella virus)、サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus)、単純ヘルペスウイルス(Herpes simplex virus)、 リンゴ病・梅毒・B型肝炎など(Others)の頭文字を取って並べたものになります。今回は特に、この中でも予防がしやすい風疹について解説します。

妊娠中にかかると怖い、風疹

風疹は風疹ウイルスの感染によって起きる、発疹を伴う感染症です。ワクチンのおかげで流行は抑えられていますが、一旦流行するとあっという間に広がる感染症です。一般的に風疹は、熱や発疹・リンパ節の腫れなど、風邪に似ており、関節炎や、重症な脳炎を起こすこともあります。
また、妊婦が風疹ウイルスに感染すると、お腹の赤ちゃんに感染することがあり、「先天性風疹症候群」といって目や耳、心臓などに病気が生じてしまうことがあります。特に妊娠初期に感染することで起こりやすいといわれています。妊娠初期の検査で、風疹に対する抗体の検査が行われます。 十分な抗体がない場合、風疹流行時には、人込みを避けるなど注意が必要です。

風疹は予防できる!パートナーや周囲は意識を!

これを予防できるのがワクチンです。多くの方が小さい頃にMRワクチンやMMRワクチンとして予防接種を受けていますが、妊娠するころには十分な効果が維持できていない場合も少なくありません。
風疹の免疫がしっかりあるかは、「抗体検査」で調べることができます。 妊婦やパートナーなどに対しては無料で検査をしている自治体もあるので、是非調べてみてください。
また検査の結果、抗体が十分にないと分かった場合は、風疹ワクチンの接種が必要です。妊娠中の妊婦は接種できないのですが、パートナーは接種可能ですので、是非早めに調べて予防していきましょう。
出産後に、産婦人科でワクチン接種を受けることも勧められています。

監修 / 桂木 真司 先生

宮崎大学医学部 産婦人科 主任教授