妊娠中期の体の症状

中期のお腹のはり

目次

  • 妊娠関連で気をつける張り・痛み
  • 妊娠に関係のない病気でも起きる
  • こんな時には受診を

妊娠関連で気をつける張り・痛み

中期になると張りに悩まされることが増えます。初期に引き続き、原因や受診のタイミングを知っておきましょう。妊娠22週未満で流産へ進行する可能性が症状(性器出血、腹痛、子宮頸管長短縮)がある場合切迫流産と言います。 子宮腟部のびらん、子宮頸管ポリープからの出血、他の疾患による腹痛などが確認された場合を除きます。妊娠22週以降37週未満に下腹痛、性器出血、破水などの症状に加えて、内診では子宮口開大、頸管短縮などの頸管熟化の進行が認められ、早産の危険性が高い状態を切迫早産と言います。

妊娠に関係のない病気でも起きる

これは妊娠中期に限りませんが、「腹痛や張り」の原因は、妊娠に関係のある疾患だけではありません。
例えば有名な「盲腸(虫垂炎)」は妊娠中でも起きることがあります。他にも尿路結石(左右の下腹部~背部)、卵巣腫瘍の捻転などは激痛を伴います。子宮筋腫の変性や腸炎といったお腹の中で炎症を起こす場合にも痛みを伴います。このような病気は場合によっては手術などが必要になることもあります。
また便秘はひどくなれば張りとして自覚することも多くなります。妊娠中は便秘になりやすいので、回数の減少や便の固さに気づいた場合、積極的に水分を取る・食物繊維を取るといった方法で対策するのが望ましいです。

こんな時には受診を

また右のみぞおちの痛みには注意が必要です。胆嚢炎などに特徴的な痛みですが、肝臓の異常を表していることがあります。急性妊娠性脂肪肝やHELLP症候群といった緊急疾患の最初の症状として出ることがあるため、 高血圧の方や、強い右のみぞおちの痛みがある場合、急ぎの受診が望ましいです。
「こんなことで受診していいのか」とつい思ってしまう妊婦さんもいらっしゃると思いますが、平日日中であれば、予約前であってもかかりつけを受診するのが望ましいです。夜間や休日は痛みの度合いなどにもよりますが、いつもと違う・強い痛みの場合は急いだほうがよいことも多いです。 また激痛や、多量の出血を伴う場合はすぐに受診しましょう。

監修 / 桂木 真司 先生

宮崎大学医学部 産婦人科 主任教授