レントゲン検査やCT検査、妊娠中は大丈夫?
まずは「放射線」について正しく理解しましょう。放射線は高いエネルギーを持った電磁波や粒子であり、目に見えません。生物に対して有害な作用を持ち、特に分裂が激しい細胞に対する作用が強いため、妊娠中や小さいお子さんは特に気をつけるべきとされています。しかし、
自然界でも常に発生しており、全く浴びないということはできません。また少量の自然界から浴びる放射線は、誰もが防ぐことができないため、この程度の放射線であればほぼ無害であると考えられています。
放射線の影響は多くが「確定的影響」と呼ばれ、ある一定の量を超えるまでは影響が出ないと考えられています。短時間・大量は問題ですが、そうでなければほぼ気にしなくてよいでしょう。
医療ではレントゲン検査やCT検査をはじめとして、放射線を検査や治療に活用しています。妊娠中も、赤ちゃんの頭の大きさとお母さんの骨盤の大きさを計測するのにレントゲンを用いることがありますし、帝王切開の手術前などでは胸のレントゲンを撮影することもあります。
これらのレントゲンでの被ばく線量は、1回あたりで自然界から受ける年間線量の40分の1程度であり、赤ちゃんへの影響は考えなくてよいとされています。また、造影剤を用いたCT検査も平均10ミリグレイ程度の被ばく量であり、胎児異常を起こす可能性のある100ミリグレイの10分の1です。
医療では常に「被ばくのデメリット」と「放射線を当てるメリット」のバランスを考えて検査を行うか決定しています。不安な場合には医師に改めて聞いて、必要な検査はしっかり受けましょう。
同じ画像検査でも、用いるレントゲン検査やCT検査と違い、エコー(超音波検査)やMRI(核磁気共鳴画像法)は放射線を用いません。これらの検査法については、現時点では赤ちゃんへの明らかな悪影響は知られていません。特にエコーについては世界的に赤ちゃんの検査に使われており、
問題ないと言ってよいでしょう。
MRIについても、研究で明らかな悪影響は認められていません。しかし、造影剤の利用については影響があると考えられており、控えるようにされています。一方胎盤や赤ちゃんの問題などがあるときにはMRIは有効な検査であり、
利益が大きいので、勧められた場合にはしっかり相談し、受診するのがよいでしょう。