妊娠後期の体の症状

「前置胎盤」とは?

目次

  • 前置胎盤とは?
  • 前置胎盤はいつ診断される?
  • 前置胎盤の場合、どうなる?

前置胎盤とは?

前置胎盤とは、赤ちゃんに栄養を送っている胎盤が、子宮の出口(内子宮口)を覆ってしまっている状態です。赤ちゃんが出てくる子宮口を覆ってしまっているので、そのままでは赤ちゃんはママのおなかの外に出てくる事ができません。血液が豊富な胎盤が入り口にあるため、出血も起こしやすく、 出産前からの出血や、出産時の大量出血、これらによる早産なども引き起こしやすいことが知られています。
前置胎盤になってしまう妊婦さんは比較的少数ですが、なった場合には慎重な管理が必要です。原因は子宮の手術既往や多産・多胎・高齢・喫煙などがありますが、予防できるものは多くありません。

前置胎盤はいつ診断される?

前置胎盤初期は多くが無症状で、エコーで診断されることが多いです。妊娠中期までは胎盤が下にあることも多く、前置胎盤に見えることも多くあります。多くの場合、後期に子宮が大きくなると胎盤も上に引き上げられます。一方後期でも子宮口に胎盤がかぶっている場合は前置胎盤であり、 つまり後期(大体28週以降)にならないと全治胎盤であるかどうかの正確な診断はできないのです。
また胎盤が子宮口から離れても血管が近くにある状態を「前置血管」といい、こちらも出血のリスクが高い状態です。時間が経っても前置胎盤・前置血管の状態が改善しない場合は、 分娩に備えていろいろな準備を始めつつ、慎重な管理を行っていくことになります。

前置胎盤の場合、どうなる?

まず分娩は帝王切開になります。帝王切開は出血が多くなりやすく、赤ちゃんの問題も起きやすくなるため、新生児科・麻酔科や輸血・検査の体制が整った大病院(周産期センター)で行うことが原則です。早産になりやすいので、32週までには大病院での健診に切り替えましょう。
また早期から出血を起こしやすくなります。出血した場合、すぐに受診が必要ですし、繰り返す場合は入院になることもあります。赤ちゃんの成長具合も見ながら、適切なタイミングで帝王切開に踏み切ります。
母児共にリスクが高い状況ですので、パートナーや家族含め、主治医の先生の話とよく相談し、無事に出産できるように備えましょう。

監修 / 桂木 真司 先生

宮崎大学医学部 産婦人科 主任教授