妊娠後期の体の症状

「ソウハク(早剥)」とは?

目次

  • 早剥について
  • 早剥の症状
  • 早剥の対処

早剥について

早剥とは、「常位胎盤早期剝離」の略称で、本来赤ちゃんを産んでから剥がれ、出てくる胎盤が、赤ちゃんが産まれる前に子宮から剥がれてしまう状態を指します。当然赤ちゃんの命綱である胎盤が剥がれるので、赤ちゃんの呼吸が苦しくなり命に関わりますし、 母体も大量出血などを起こしやすく、妊産婦死亡の原因にもなる疾患です。
重大な病気ですが、発生率は全妊娠の1%程度と決して低くありません。特に妊娠高血圧・切迫早産や前期破水、そして早剥を起こしたことのある妊婦さんで発生頻度が高くなり、 多産や高年齢、子宮筋腫なども原因となります。症状を知り、特に妊娠後期で疑った場合には、早期に受診・対処できるように知っておきましょう。

早剥の症状

早剥はまず症状から疑います。特に有名なのは性器出血・下腹部痛・子宮収縮であり、赤ちゃんの元気がなくなれば胎動減少なども起きます。これらは早剥を疑う上で重要ですが、例え早剥でなくても受診すべき状態であり、妊娠後期にこのような症状を認めた場合には、 すぐに産婦人科を受診しましょう。
特に腹部の激痛では真っ先に早剥を考えるため、妊婦が激痛を訴えた場合は、救急車での受診もためらってはいけません。
特に切迫早産の妊婦さんでは、このような症状は生じやすいですが、組合わさるときや増えるときには早剥を起こしていることもあり得ます。「いつものだ」と油断せずに、早めに受診しましょう。

早剥の対処

早剥はすぐに赤ちゃんを出すべき状態です。基本的にはすぐに分娩に持ち込める帝王切開を行いますが、血が固まりにくくなってしまっているなど、状況次第では先に他の対処を行う必要もあります。
これらの対処は前置胎盤と同様、基本的には新生児科や麻酔科・輸血や検査の設備が整った大病院(周産期センター)で行う必要があります。搬送時にかかりつけではなく、周産期センターにいきなり運ばれる場合や、すぐに受診するように言われる場合もありますが、 緊急事態なので急ぎの対応が必要、というのは理解しておきましょう。

監修 / 桂木 真司 先生

宮崎大学医学部 産婦人科 主任教授