産休や育休に関連するお金について
妊娠中にもらえるお金は大きく4つ。「妊婦健診費用の助成」「出産育児一時金」「出産手当金」「育児休業給付金」を覚えておきましょう。
「妊婦健診費用の助成」は、多くの自治体でチケット形式で行われています。母子手帳を受け取る時に一緒にチケットを受け取り、多くの病院はこれに基づいて妊婦健診を行います。チケットは金額制で、平均で10万程度が助成されます。残りの自己負担は約5万円程度の場合が多いとされています。
出産育児一時金は、一律50万円が健康保険組合から支払われます。
この2つについては、全ての妊婦が条件なく受けることができます。
産休や育休を取ることで、給与が支払われなくなった場合には、「出産手当金」「育児休業給付金」が受け取れます。大体収入の3分の2の金額ですが、受給期間は社会保険料の支払いが免除されるので、手取りとしては8割程度の金額になります。
出産手当金は出産前6週、出産後8週が給付対象であり、出産後8週以降は育児休業給付金に切り替わります。金額としては同じですが、育児休業給付金は180日を過ぎると支給割合が50%に減少するので注意しましょう。
またこれらは給与収入者向けの制度なので、自営業や専業主婦には適応されないこと、勤続期間などに制限がある場合もあることにも注意が必要です。
2022年10月から「出生時育児休業給付金」(通称:「産後パパ育休」)が施行されました。出生後8週間の期間内に夫が合計4週間分(28日)を限度として取得した場合、一定の条件を満たすと支給を受けることができます。
経過に問題がなければこれまで紹介した補助で多くはカバーできますが、困った時には追加の制度もあります。
まず妊娠中の病気で入院が続いたり帝王切開になった場合、医療費が一定額を超えれば「高額療養費制度」が使えます。収入に応じて支払いの上限が決まるので、大きく負担を軽くすることができますが、保険診療に限られ、個室代などは含まれないことを覚えておきましょう。
またそれでもお金がない方などは、自治体の福祉事務所に相談すると良いかもしれません。「助産制度」といい、困窮した妊婦に出産費用を更に補助する制度もあります。
また一定以上の医療費を払った場合には、医療費控除で税金を減らすことができます。確定申告が必要になるので、早めに書類などを準備しておきましょう。
(執筆:平野翔大先生 産婦人科医・産業医/医療ライター)