12週間

妊娠12週歯周病 編

考えはじめよう、ママと赤ちゃんの予防歯科。

永松健先生

国際医療福祉大学成田病院 産科・婦人科部長 病院教授

目次

  • 妊娠中はいつもより、むし歯や歯周病になりやすい?
  • 歯科治療は、赤ちゃんがおなかの中にいる今のうちに。
  • 歯の健康は、一生もの。赤ちゃんにとっても、ママ・パパにとっても。

妊娠中はいつもより、むし歯や歯周病になりやすい?

妊娠12週を越えると、流産が起こりやすい時期を脱して、つわりや体のだるさも和らいで比較的安定した妊娠の状態を迎えます。お母さんの生活習慣を見直し始めるのによいタイミングです。体を労わる生活から、出産に向けた健康な体づくりのための生活にシフトしていきましょう。特にお母さんに気をつけてほしいのが、歯の健康です。妊娠中は女性ホルモンの影響で、歯周病の原因となる細菌が増えたり唾液が減って、むし歯や歯周病にかかりやすくなります。特に歯周病は、早産や低出生体重児のリスクを高めるとの報告もあります。食事後は欠かさずに歯磨きをしましょう。また、自治体によっては歯科検診への助成もあるので、ぜひ歯科検診を受けてみてください。

歯科治療は、赤ちゃんがおなかの中にいる今のうちに。

皆さんの中には「歯の治療はおなかの赤ちゃんに影響があるから、妊娠中は歯の治療はできない」と思い込んでしまっている方もいるかもしれません。実は、妊婦中も歯科治療はできます。薬や麻酔なども妊娠中に安全に使用できるもので治療が可能ですし、歯科治療で利用されるレントゲン撮影は胎児への影響なく利用できますので、ご安心を。それに出産後のお母さんは、忙しくて自身の健康を気遣えなくなってきますから、比較的時間のある妊娠中に歯の治療を受けておくことをおすすめします。その際は母子健康手帳を提示して、産婦人科に通っていることを必ず歯科医に伝えましょう。もし治療前に心配なことがあれば、かかりつけの産婦人科医にも遠慮なく相談してくださいね。

歯の健康は、一生もの。赤ちゃんにとっても、ママ・パパにとっても。

歯の健康が大切なのは、出産後のためでもあります。一般にもよく知られていることですが、日常のスキンシップを通じて、むし歯菌が親から子へ感染るリスクがあります。たとえむし歯は治療済みだとしても、ママもパパも油断はしないで。むし歯の原因菌は、口の中にいつもいる菌の一部なのです。ただし、だからといってキスはだめ、口移しはだめ、と神経質になりすぎる必要はありません。毎日しっかりと歯磨きをして口腔環境を整えておくことが大切です。歯の健康は、一生もの。お子さんが20歳、30歳になった時にもずっと元気な身体でいられるように。ぜひこの妊娠・出産を、ママ・パパの健康を見直すよい機会にもしていただければと思います。

12週の妊婦さんへのメッセージ